ドラム
カブトムシの新曲4つのレコーディングをした。なんか死ぬほど疲れてヘロヘロになっている。4つそれぞれ相当違うテイストで演奏のモードを切り替えるのも地味に大変だった。プレイで満足のいかなかったところもあるけど、1stアルバムだし、それも含めて最高の音になりそう。絶対良いものにしたい……。
よくドラムは両手足を別々に動かしていてすげーみたいに言われるけれど、感覚としてそこまで別々に動かしている気持ちはない。Dafnis Prietoほどイカれてたら話は別だけど、多分ドラム奏者が楽器を初めてからしばらく執心するのは、手足4つのパーツを一つの身体として統合し直すこと、つまり両手足それぞれ別の動きをしている譜面を一つのフレーズとして解釈することだ。たとえばごく短絡的に言うと、エイトビートにおけるハイハット(右手)は、常に八分音符を刻み続けているから身体としてはある種自動化することができる。(もちろんそれがその後通用していくかというとそんなことはない。)その自動化した右手を軸に、スネアを入れたりキックを入れたり、、、そんな過程を経て、奏者は段々と身体を自動化させていく。フィルインなんて言葉があるくらいだし、ドラムは基本的にある繰り返しを自動化した身体で鳴らしていく。そしてようやくエイトビートのフレーズを叩くことを考えずに叩けるようになって、そこではじめて自分の身体の動き、細かな音色の違い、強さ、スピードなどの諸々を考えるメモリを確保できる。さらに進んで、今度は確保したメモリで考えた諸々を、障害なく手足の運動に反映することに執心する。黒田良和さんのジャズドラム実況動画は本当に豊かな示唆をもっている。是非観た方が良い。プロはすげえ〜となる…。まあここまでツラツラと書いてはいるけれど、実際のところ手足を別々に動かしてもいるし、全体を一つとして動かしてもいる、半々くらいの心持ちで演奏している気がする。そのバランスが崩れると、プレイも崩れる。
僕からするとよっぽどピアノの方が10本の指を動かしているし、木管楽器の方がたくさんのキーを操作している。でも多分この奏者たちも同じような心持ちなんじゃないだろうか。知らんけど。
2021/07/01